七尾市の中心部に位置する小学校の建て替えである。コンセプトである『自然―「光」「風」「緑」―が感じられ、「地域の伝統」と「きずな」を継承する学校』の実現のため、以下のような提案を行っている。
○配置計画
・ボリュームが大きい屋内運動場の既存プール・既存住居近傍配置を避けその影響を押さえている
・東側は隣地民家に近くなるため可能な限り緑化を図るなど、周辺環境に配慮している
・普通教室は全て南面配置とし居住性を確保している
○平面計画
・学年のまとまり・絆を大切にしたクラスター型平面計画としている
・学年集会やグループ別活動、イベントその他遊び空間として学年ごとにワークスペースを設けている
・図書・メデイアスペースの重要性はますます大きくなっている。全ての児童が「朝読書」
や「帰り読書」に利用しやすい昇降口近くに配置している
○児童の生きる力を総合的にはぐくむことができる小学校
・普通教室の近くには習熟別学習や少人数学習にあてる「多目的室」設置している。
・各学年普通教室棟には「ワークスペース」を設けている。そこには先生のコーナーを設置し教師がきめ細かい指導が出来る環境を整えている。
・内部は「木」をふんだんに使ったぬくもりのある空間を創っている。
・１～２年生には屋内運動場の代替として教室のすぐ傍に「プレイルーム」を設置している
・屋内運動場に１階はピロテイとし、雨天でもこどもたちの屋外運動が出来るスペースを確保している。
・普通教室は全て南面させ、光にあふれ風が通り抜ける気持ちのいい環境を創っている
○地域のシンボル的施設として環境・人権に配慮した地域に開かれた特色ある学校
・この地の伝統文化である「でかやま」を象徴する「台形」をモチーフにした外観構成としている
・内部には伝統文化を展示するコーナーを設置している
・基本的に屋内運動場を地域開放区域と設定している
・将来的に地域の要望に応じて開放区域の拡大可能な配置計画としている
・地域の人が使いやすいようにエレベーターは開放区域に設置している
・設備配管に必要な地下ピットを利用したクールヒートトレンチを設け、夏涼しく冬温かい地熱の利用を図る
・建物の断熱化を図り冷暖房負荷の低減を実現する
・設備配管に必要なピットを有効に使い、維持費およびライフサイクルコストの低減を図る
・冷暖房システムでは配管距離が長くならないように棟ごとに屋外機の設置場所を設ける
○児童の生活の場や地域の防災拠点の場として安全な機能を備えた学校
・職員室は児童の登下校が見やすいだけではなく不審者が校内に侵入しにくい位置に配置している
・校内に目が届かない死角が出来ないように平面計画で考慮している
・外部空間では特に普通教室周りの中庭（だんだんテラス）は管理扉を閉ざすことにより不審者が侵入のおそれのない「安全な中庭」となっている
・屋内運動場を非常時における避難場として計画している
・防災時には共同調理場が下階にあるため、上階の避難場への食料の供給がしやすくなっている